「新宿迷宮」オッサンラップ誕生

ボクらは今まで縁の下で巨大なコンテンツを支える仕事をしてきた。多くの仲間達とひとつの作品を作り上げる活動は楽しい。でも、完成した後にはスタッフロールの一行になって終わってしまう。プロになればなるほど、スタッフロールすらない仕事になっていく。

何が残る?時代の流れに押し流されてしまうようなスキル?やったぞという自己満足?

舞台にあがって、観客達の真正面に立ってみよう。歌を作って歌ってみよう。踊ってみたっていいじゃないか。それがどれほどのコンテンツになって、どういう評価になるのか、確かめてみようじゃないか。

それをやるために生まれたのが「新宿ウサギズ」という舞台なんだから。

さて、新宿ウサギズの初作品。まずは歌がないと始まらない。作曲だ、作詞だ、どうしよう?

フリーの音楽に適当に歌詞つけるとかどうかな?いや、歌なんてなくてもいいんじゃん?とか、ただのトークでどうだろう?リズムに適当にトークを乗せてみれば、楽しいものになるかもよ?色々逃げ道を考えたけど、やっぱり何から何までオリジナルである事に拘りたい、それがウサギズのコンテンツが使い捨てではない事の証明になるんだから。

となると、作詞作曲からは目を背ける事はできない。

そこで、音楽担当、WooSirLOOPERの登場だ。「ウーサールーパー」と読む。

WooSirLOOPERは、「昔、ローランドのMIDIとかで音楽を作った事があります」とか言っていた気がするという定かではない記憶から辿って、呼び出された。この命名の秘密については、後ほどわかるだろう。

20年以上、作曲活動なんてしていないと困惑したウーサーが選んだのは、Macに最初からインストールされているGarageBandだった。

GarageBandとは、既に完成された短いループを並べていれば、自然と音楽が出来上がっていくというアプリで、ドラムパターンや、短いメロディパターン、コーラスなど、様々な楽器やリズム、メロディパターンが5900種類も用意されている。お金を出せば、更にパターンを増やせるそうだが、5900種類もあれば、とりあえず「音楽」と言える程度のものは作れるだろう。

ウーサーは、10時間くらいかけてぶっ続けで、5900種類の音源ループを聴くところから始めていた。全て聴き終わった後、唇がカサカサになっていた。この5900種類のループは、今後、曲を作るたびに、何度も何度も聴く事になるが、そのたびにウーサーの唇がカサカサになる。

次は、できあったベースのリズムパターンに、歌詞を乗せていくのだ。

リリックという言葉の意味も、韻を踏む事の意味も、何も知らずに、何も考えず、耳あたりの面白い言葉を並べて物語を完成させたのが、この「新宿迷宮」の歌だった。この歌を聴いた時、ボクらは思わず叫んだ。

「ラップじゃないか!これ、ラップだよ!」

「ラップ」の意味もよくわかっていないMCハマー世代のボクらの浅はかな威勢の良さは、のちにWooSirLOOPERの精神を追い込んで行く事になってしまう。

この作品は、勢いで作ったわりには、そこそこに身内ウケが良く、身内でもない人達からも少し評価していただいた。「やればできるじゃないか!」調子付いたボクらが次に始めたことは・・・。

次へ:大作に挑戦だ!無謀な試みに挑戦しまくる!

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