ネル子の猛毒処方箋・カレーライス

第二作目「上野ボードワン」は色んな意味で次の一歩を進めた作品になった。ボクらの中で膨れ上がっていく欲求不満のパワーを思う存分に浴びせ、見るものを圧倒した。

「なんだかよくわかんないけどスゴイ気がする」

しかし、冷静に見られてしまうと、粗が目立つ作品でもある。プロフェッショナルな視点からは厳しいご指摘もいただいた。しかし、こういった意見をいただけるほどに存在感を放つ事ができたのだ。

よし、この調子で、次の作品は日暮里にしよう。タイトルも「やっぱり日暮里」。思いつくネタがあまり無さそうな土地(失礼)だからこそ、思いっきりできるんじゃないか?

でも、自分たちの「思いっきり」ってなんだろう?それは社会に受け入れてもらえるような「思いっきり」なんだろうか?「やっぱり日暮里」の歌詞は考えていたが、ちょっとココで書いて良いものか迷うようなものであった。

この歌詞は、まだ表に出さないほうが良いんじゃないかな?日暮里の尊厳うんぬんとは、また全然違う意味で、女性がドン引きするような内容だし、いったんボクらは頭を冷やしたほうが良いんじゃないかと思うよ。

そこで、ボクらの山手線ソングは、一時中断し、次の作品の台本を、別の人に託してみる事にした。

「別の人」で思いついたのが、「上野ボードワン」でウサギ達の作画をお願いした折羽ル子さんだった。テーマは特に決めずに、自由に、なんかビジュアル化するための台本を書いてもらってみよう。

折羽ル子さんの感性だったら、きっと女性らしい、時代に合った優しいアイデアが出てくる気がする。

すぐに返答が来た。以下の内容だった。

私はさ、金曜日になるたびにさ、思うんだ。
ジャワカレーとか、キーマカレーとか、
どう考えてもほら、色とか状態とか似てんじゃん。

モロじゃん。

レッドカレーは血便だし。

グリーンカレーとか…(省略)
ねえ、カタツムリのフンとか見た事ある?

わたしはさ、お鍋をかきまぜながら、、
その相似性ってやつに思いをはせ…(省略)

そういや、
肥溜めに落ちるバカな子とかいたりしたよねえ、とか、
思い出に、しみじみするんだよ。

だからさ、トッピングとかは邪道なんだよ。
だって、どこだって、
紙以外は流さないでくださいってあるじゃん。
だからわたしは水も流さないんだけど。

(省略)トッピングって、要するに異物なわけ。

カレーは飲み物ですって人だって、
カツカレーのカツはごっくんしないよね。

魚の骨が喉に刺さってたって、
カツはごっくんしない。

(省略)

あははは、気付いちゃった。
カレーは飲み物ですって、そういう意味か。

夜のお楽しみが黄土色って事なんだ。

ほら、このちっこい具とかさ。
(省略)

このメールは、「台本の文字量はこの程度のもので良いですか?」という確認のためのものだったらしいが、ボクらは勘違いして、そのまま採用して、そのまま映像化して、完成させ、そして公開してしまった

こうして、ネル子の猛毒処方箋の第一作目が誕生した。

あとで「アレ、文字量はこの程度で良いですか?という意味で送ったものだったんですが、もしかしてそのまま作品にしましたか?」というようなメールが来た気がするが、すぐに閉じてしまったので、よく読んでいない。

そういえばTwitter「返答が来ないんだよなー」とか呟いていた気もする。

次へ:その頃、音楽担当WooSirLOOPERは、ボクらから離れて修行の旅に出ていた。

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